住まいのコラム
第二種住居地域とは?特徴や規制・他の用途地域との違いを解説
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都市計画法では、生活環境を守りつつ利便性の高い活動ができるよう、「用途地域」という分類を使い、住宅地・商業地・工業地などの用途別に土地を区分しています。用途地域のうち、住居を優先するものの中でも建物の高さや建築物の用途には規制がかけられています。中でも、比較的規制が緩やかな用途地域が第二種住居地域です。
この記事では第二種住居地域と他の住居を優先する用途地域の違いや、建築規制、特徴について解説します。自身が建物を建てる地域について悩んでいる方は、この記事を参考にしてください。
1.第二種住居地域とは?
第二種住居地域とは、都市計画法で以下のように定められた用途地域の1つです。
6 第二種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域とする。
引用:e-gov法令検索「都市計画法(昭和四十三年法律第百号) 第九条」引用日2023/04/14
用途地域とは、生活環境を守りつつ利便性の高い活動ができるよう、住宅地・商業地・工業地などの利用目的によっていくつかに区分された地域のことです。用途地域が指定されているエリアでは、用途地域ごとに定められた建て方のルールがあり、土地利用に応じた環境の確保が図られています。
第二種住居地域は住居環境を保護することを目的としていますが、住宅だけでなく、大規模な店舗や事務所、遊戯施設なども建てられる地域です。
1-1.第一種住居地域との違い
用途地域の区分で、「住居の環境を保護するための地域」は第一種住居地域と第二種住居地域に分けられています。第一種住居地域は都市計画法では「住居の環境を保護するため定める地域」と定められており、第二種と同様に住宅をメインとした地域です。
出典:e-gov法令検索「都市計画法(昭和四十三年法律第百号) 第九条」
第一種住居地域では、住居以外では3,000平方メートル以下の店舗や事務所、ホテルが建てられます。
第二種住居地域では3,000平方メートルを超え、10,000平方メートル以下の店舗も建てられます。また、第一種住居地域で建てられないカラオケボックスやパチンコ屋なども10,000平方メートル以下なら建築可能です。
そのため、第一種住居地域は第二種住居地域と比較すれば静かな一方、娯楽施設や大規模な商業施設へのアクセス性では劣っています。
1-2.中高層住居専用地域との違い
用途地域として定められている住居地域には、第二種住居地域と第一種住居地域のほかに以下の区分もあります。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
出典:e-gov法令検索「都市計画法(昭和四十三年法律第百号) 第九条」
第一種・第二種の中高層住居専用地域はそれぞれ以下の通りです。
地域の概要 | 用途制限の概要 | |
---|---|---|
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 |
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第二種中高層住居専用地域 | 主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 |
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中高層住居専用地域では、建物の高さ制限はゆるやかであり、マンションなどの集合住宅が多く建築されます。また、ボウリング場やスケート場などの遊戯施設は建設できず、店舗の規模も制限されているため、静かで落ち着いた住環境で過ごせる一方で、利便性は劣ります。
1-3.低層住居専用地域との違い
第一種・第二種の低層住居専用地域はそれぞれ以下の通りです。
地域の概要 | 用途制限の概要 | |
---|---|---|
第一種低層住居専用地域 | 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 |
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第二種低層住居専用地域 | 主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 |
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第一種・第二種の低層住居専用地域では、第二住居地域や第一種・第二種中高層住居専用地域と比べて、住居以外で土地を活用できる建物が少ないのが特徴です。店舗は少なく、建物の高さも制限されており、いわゆる「閑静な住宅街」のイメージに近い地域が低層住居専用地域です。建物の高さ制限もあるため、日当たりや風通しがよく、静かな生活を送れます。ただし、スーパーなどの店舗も制限されており、日常的な買い物などでも遠出が必要になります。
2.第二種住居地域に建てられるもの
第二種住居地域で建てられるもの・建てられないものは以下のように定められています。
【第二種住居地域の建築物用途制限】
建てられるもの |
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建てられないもの |
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第二種住居地域の建築物の用途制限は比較的緩く、店舗などは10,000平方メートル以下なら建てられます。第一種住居地域では原則建てられないカラオケボックスも、面積に制限がありますが建築可能です。一方、劇場や映画館、演芸場などは第一種住居地域同様に原則建てられません。
2-1.第二種住居地域で受ける建物の制限
土地には敷地面積に対して建物を建てられる面積を比率で表す「建ぺい率」と、敷地面積に対して延べ面積の比率を表す「容積率」が用途地域別に定められています。
建ぺい率・容積率はそれぞれ以下の計算方法で表せます。
- 建ぺい率(%):建築面積÷敷地面積×100
- 容積率(%):延床面積÷敷地面積×100
第2種住居専用地域においての建ぺい率と容認率の比率は以下の通りです。
建ぺい率(%) | 容積率(%) | |
---|---|---|
第2種住居専用地域 | 50~80 | 100~500 |
建ぺい率や容積率は、一定の基準を満たすことで緩和される場合があります。ただし、自治体によって規定が異なるため、事前に確認が必要です。
建ぺい率や容積率のほかにも第二種住居地域に建てられる建物には高さや形状が規制されています。
道路斜線制限 |
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隣地斜線制限 |
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日影規制 |
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3.【利便性を求める方におすすめ】第二種住居地域の特徴
第二種住居地域は建造物への規制が比較的緩やかで、住宅への活用方法だけでなく、教育施設や病院、店舗や事務所、遊戯施設などが混在しやすい特徴があります。そのため、近隣商業地域から近い場合が多く、周辺環境に利便性を求める人にはおすすめです。具体的な特徴を解説します。
3-1.生活に必要な施設にアクセスしやすい
第二種住居地域は住居用であるものの、コンビニから大型店舗、ガソリンスタンドや娯楽施設までさまざまな施設が建てられます。そのため、わざわざ遠くにいかなくても生活に必要なものが手軽に手に入る点がメリットです。また、第一種住宅地域では建てられないカラオケボックスやパチンコ店なども第二種住宅地域では建てられ、普段から遊戯施設を利用する人には住みやすい土地です。
3-2.人通りが激しいにぎやかな場所になりやすい
第二種住居地域は事務所の用途制限も緩やかで、住居者だけでなく仕事でオフィスに訪れる人も多い傾向があります。また、商業施設や飲食店、娯楽施設によっては夜間まで営業している場合もあり、騒音につながることも考えられますが、夜間でも道が明るい点はメリットです。
また、人の出入りが曜日や昼夜問わず多くなりやすい地域のため、にぎやかな街が好きな人に向いています。
3-3.交通の便が良いことが多い
一般的に、第二種居住区域は駅や幹線道路の近くに定められていることが多く、交通の便の良い地域です。電車などの公共交通機関を利用して通勤・通学する人にとっては、第二種住居地域の交通の便の良さはメリットです。
また、主要道路にすぐ出られるため、普段から運転を行う人も、幅が広く整備された道路にアクセスできます。ただし、幹線道路に近い地域の場合は排気ガスに注意が必要です。
まとめ
第二種居住区域とは住居環境を保護することを目的としつつ、住宅だけでなく、大規模な店舗や事務所、遊戯施設なども建てられる地域です。面積10,000平方メートル以下の店舗や遊戯施設・事務所、面積50平方メートル以下の工場を建てられるため、人通りが多くにぎやかな地域になります。一方、劇場や映画館、演芸場などは建てられません。
第二種居住区域は商業施設や遊興施設といった生活に必要な施設にアクセスしやすく、多くの場合交通の便が良いことから、周辺環境に利便性を求める人にはおすすめです。ただし、騒音や人通りの激しさを望まない人には向きません。